親鴨会2024年11月メッセージ
『 時間の大切さ 』
　　　　　　　　親鴨会会長 内池 正名

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　異国でその国の文化や人々の生活に接することこそが旅の楽しみの真髄だと思います。しかし、現役時代、国内外の移動は「仕事」であって、けして「旅」ではありませんでした。
　ニューヨーク出張と言っても、ホワイトプレーンズに泊リ、アーモンクやソマーズなどでの会議でしたのでマンハッタンに泊まったことはほとんどありませんでした。JAZZ 好きのわたしとしては貴重なチャンスを生かせなかったことを残念に思います。また、慌ただしい出張も多く、東京から機内泊でオーストラリア・シドニーに朝到着、午前中会議、午後の便でシンガポールに向けて発ち深夜着。翌日午前中会議、午後の便で深夜東京に戻るという、空港とオフィスの行き来だけの体力勝負でしかありませんでした。

　しかし、フルタイムを卒業したあとは、ゆっくり過ごす旅を家族と何度か楽しみました。ポルトガルを旅した時は、港湾都市のポルトやコインプラで世界最古の大学を訪ね、マデイラ島に飛び大航海時代のポルトガルを支えた歴史に触れました。バルト三国の一週間の旅では多様な文化と領有変遷の歴史の影を体感。イタリアでは食事の楽しみだけでなくナポリ近郊ポンペイの東京大学遺跡発掘調査現場を訪れ永年の発掘成果の説明を聞くというのも贅沢な時間でした。また、国内でいえば五街道(旧道)を歩くことで、人々の生活の中に息づく歴史や文化の一端を感じるという時間を満喫しました。時間が大切なのだとつくづく感じます。
　コロナも落ち着いて来たこともあり、以前は「仕事」で素通りしていた土地をゆっくり楽しんでみたいという気持ちもふつふつと湧いてきます。マンハッタンでのんびり美術館を巡り、公園を散策し、JAZZ を聴いて過ごす一週間の旅もなにやら魅力的です。